こんにちは。ウェブアナリストの小川 卓です。
ウェブアナリストに必要な5+1の力の第6回として「アジャイル」を紹介いたします。5+1つの力の概要に関しては以下の記事をご覧ください。
日本語に訳すと「機敏」あるいは「敏捷」という意味を持ちます。開発手法である「アジャイル開発」といった形で耳にされた方も多いのではないでしょうか。
何故ウェブアナリストは「アジャイル」の方が良いか?理由はそれがウェブアナリストの評価に繋がりやすいからです。ウェブアナリストは名前の通り「アナリスト(分析者)」という名称がついており、レポート作成や分析に使う時間が比較的長いためこの名称がついてします。ウェブ解析自体は「施策」ではありませんが、最終的に求められるのはビジネスへの貢献です。
ビジネスの貢献を考えるのであれば、レポート作成や分析は手段でしかなく、この時間を効率化あるいは短縮できれば、サイト改善案の検討などに時間を更に割くことが可能になります。
ウェブアナリストにとって必要なアジャイルとは、3つに分けることができます。「効率化を意識する」「施策実行(あるいは成果)に対しての距離を短く出来る」「自分自身のPDCAを回すことが出来る」です。それぞれについて確認をしていきましょう。
自分が携わっている仕事に対して、その内容をより早く終了させることが出来ないかを考えてみましょう。また、もしかしたら不必要な仕事もあるかもしれません。1か月に1回で良いので、以下2つに関して自問自答してみましょう。
1)今行っている業務をより早くすることはできないか
2)10%仕事を減らすとしたら、どの仕事を減らすか
業務を早くするという観点ではレポーティングの効率化(Google Data Studioやプラグイン等を利用してGoogle アナリティクスのレポート作成時間を短縮)、問い合わせ対応の効率化(FAQを作成して公開しておく)、打ち合わせの効率化などが考えられます。10%仕事を減らすに関しては、利用されていないレポートの停止や不必要な打ち合わせを無くす(あるいは不参加にする)、外部での打ち合わせの一部をテレカンやチャットに変更するなどが考えられます。
特に正解はありませんが、「無くても(減らしても)本当は大丈夫」という観点で見直しを図ると良いでしょう。
「更に分析をすることはいつまでも出来る」という考え方があります。つまりレポート作成や改善提案のための分析などをして共有した際に「更にこの内訳を見て欲しい」とか「もう少し深堀が必要」といった形で更に分析をすることが可能です。しかし、分析を細かくすればするほど作成に時間がかかりますし、発見できることは「小粒」になる可能性が高いです。
複数回分析するくらいだったら、ABテストなどで仮説を元に施策を実行し、その結果を見たほうがよっぽど新しい気付きに繋がりますし、施策実行や成果までのスピードも速くなります。分析におぼれないようにするために「ここから先はテストしたほうが早いです」という観点を持つようにしましょう。
ウェブアナリストはサイトの改善に貢献することがお仕事です。そのためにPDCAなどの手法を使い、効率よく確度が高い改善活動に取り組んでいきます。アジャイルであるためには、自分の仕事を見直して、自分自身が成長していく必要があります。毎月、小さなことでもよいので、新しい何かに取り組んでみましょう。ちょっと異なった知識を手に入れてみる、新しい分析を試してみる、使ったことないツールのデモ版を使ってみるという形でもよいです。
取り組んで後に振り返ってみて、その内容は今後も業務に活かせるかを判断すると良いでしょう。(筆者も気を付けなければいけないのですが)既存の知識だけでも仕事が出来てしまうと、つい新しい知識の入手の優先度が下がってしまいます。そんな筆者は今月は、旧GAから新GAへの移行案件があり、その進め方や実行方法を今までとは違う形で整理しながら進めています。
全6回にわたりアナリストに必要な5+1の力を紹介してきました。ぜひ自分の強みや弱みを見つめなおした上で、一緒にスキルアップに取り組みましょう!
【プロフィール】
小川 卓(おがわ たく)
ウェブアナリストとして、マイクロソフト・ウェブマネー・リクルート・サイバーエージェント・アマゾンで勤務後、フリーに。複数社の社外取締役やデジタルハリウッド大学院の客員教授として活動.。コンサルティング・勉強会・執筆に従事。
主な著書に「ウェブ分析論」「ウェブ分析レポーティング講座」「漫画でわかるウェブ分析」「Webサイト分析・改善の教科書」「あなたのアクセスはいつも誰かに見られている」など。
※KOBITブログでは、毎月1~2本程度、小川卓さんに記事を寄稿いただいております。
どれも興味深い記事となっておりますので、ぜひ他の記事もご覧下さい。
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