B2B営業に有用な手段であるマーケティングオートメーションとインサイドセールスについて、その基本から具体的な方法・事例までを紹介する連載「B2B営業のためのMA&インサイドセールス」。
第一回目は、B2Bにおける購買プロセスの特徴や変化から、マーケティングオートメーションが何故必要になったのか、その背景についてご紹介しました。
第二回目となる今回は、マーケティングオートメーションの基本として、そもそもマーケティングオートメーションとは一体どういうもので、どういった機能があるのか、といったことについて解説していきます。
マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客に対し最適な情報を届ける作業を自動化する仕組みです。メール配信やWeb解析など、ソフトウェア技術を活用し、見込み顧客が多数いたとしても細かいカスタマイズを通し、受注を最大化できるよう目指します。
もし、事業の立ち上げ時に見込み顧客が数人しかいなかったとすれば、その見込み顧客に対して最適なアプローチを行うのは難しくありません。相手の興味に応じてメールの文面を書き換えたり、先行事例や調査資料を提供したりできるからです。
しかし、多数の見込み顧客がWebを通して情報収集するようになった現代では、手作業でアプローチを変えるのは現実的ではありません。そこで、多数の見込み顧客がいても、あたかも一人一人に対して接するようなワン・トゥ・ワン・マーケティングを行うのが、マーケティングオートメーションのメリットです。
マーケティングオートメーションには大きく分けて、以下の4つの機能があります。
機能 | 目的 | 概要 |
リード・ジェネレーション | 見込み顧客の獲得 | ソーシャルメディア管理 検索エンジン最適化 ランディングページ設定 |
リード・ナーチャリング | 見込み顧客の育成 | メール配信 キャンペーン管理 |
リード・スコアリング | 見込み顧客の分類 | 属性や行動に基づき、見込み顧客が案件につながる確度を予測 |
リード・マネジメント | 見込み顧客の管理 | 見込み顧客リスト CRM(顧客関係管理)・SFA(営業支援)との連携 |
マーケティングオートメーションでは、上記4つの機能を駆使し、受注につながりやすい顧客を見出し、購買意思決定を促します。
まず、Webサイトやソーシャルメディアから見込み顧客の情報を獲得し、マーケティングオートメーションが始まります。購買プロセスは長く複雑なので、顧客の購買意欲を高めるため、製品情報をメールマガジンで届ける等、育成(リード・ナーチャリング)のステップが欠かせません。
それらのステップの中で、顧客の属性・行動から案件につながる確度が高いと分類できた場合は、営業担当者との面談を設定していきます。
図:カスタマージャーニーの例
マーケティングオートメーションでは、顧客にアプローチする「シナリオ」を設定します。
例えば、展示会で名刺交換した程度の見込み顧客では購買意欲がそれほど高くないと予想されるので、業界に関する最新情報を掲載したメールマガジンを送付するといった対応に留めます。
その後、その見込み顧客がWebサイトを訪問し、資料請求を行った場合、購買意欲が十分に高いと判断できるため、営業担当者から電話をかけ、具体的な提案へと進みます。マーケティングオートメーションでは、これらの流れが自動化されるのです。
「シナリオ」を自動化するため、マーケティング活動における効率・効果の最大化が期待できます。手作業を極力省くため、人的ミスが減り、生産性が向上します。また、最適なアプローチを繰り返し実行するので、受注に至る確率が高くなるでしょう。
マーケティングオートメーションを導入した企業のうち、80%の企業はリードの数を増加させたとの調査があります。また、別の調査では74%の企業が作業時間の短縮を最大のメリットだと評価しました。マーケティングオートメーションによって14.5%の営業効率が向上するとも言われています。
マーケティングオートメーション市場は年間8.55%で成長し、2014年の36.5億ドルから2019年の55億ドルまで成長すると予測されました。(参考:https://www.veinteractive.com/blog/11-marketing-automation-stats-will-surprise/ )
マーケティングオートメーションでは、見込み顧客の獲得から管理までを自動で行うことができます。効率化を追求しつつも、ワン・トゥ・ワンマーケティングが求められている現代において、とても魅力的な機能と言えるでしょう。
次回はマーケティングオートメーションにおいて重要である情報システム、CRM(顧客情報管理システム)やSFA(営業支援システム)を活用したリードマネジメントについて解説していきます。次回もぜひご覧下さい。
次の記事:CRM・SFAを活用するMAで、マーケティングの効果を最大化させよう