ソーシャルメディア抜きで現代のマーケティング活動は語れません。消費者はソーシャルメディアを使って情報を収集し、商品の評価を確認し、購買意欲を高めていきます。この新たな購買習慣は「SIPS」モデルによって解説されました。
ECサイト成功にはSIPSモデルに深く関わるソーシャルメディアを上手く活用し、ユーザーからの興味を獲得し、商品購入を促し、ファンの育成に励む必要があります。
ソーシャルメディアと一口に言っても、チャネル毎に得手不得手があるものです。PinterestやInstagramは画像を使ったコミュニケーションが得意ですが、Twitterは短文を大量に投稿する傾向にあります。
顧客層や商品の特性に合致したソーシャルメディアを選択し、最適なキャンペーンを行わなければなりません。
デザイナー黒河内 真衣子氏が手掛けるファッションブランドmameは自社のECサイトの他にソーシャルメディアを活用しています。
特に、デザインした衣服・小物や気になる商品を投稿するInstagramは人気があり、デザイナー個人のアカウントであるにも関わらず、6万人以上のフォロワーを有します。
場合によっては単価5万円以上の高額商品も発売後すぐに完売。ブランドとユーザー層が合致し、深い関係が築けている証しでしょう。
http://www.mamekurogouchi.com/
栃木県宇都宮市にある小峰玩具製作所はECサイト「ぬいぐるみ工房moco moco」を運営し、ぬいぐるみの製造・販売を行っています。Twitterによる販売促進に熱心な同社は、広報担当者がカワイイぬいぐるみの写真を定期的に投稿してきました。
Twitterフォロワーが5000人を超えた際には、リツイート(返信)するだけで抽選でオリジナルのぬいぐるみがもらえるキャンペーンを実施し、大きな反響を呼んでいます。ニュースサイトに取り上げられるなど、「バズ」ったキャンペーンの効果により、フォロワーは1万人に届く勢いです。
http://www.kominegangu-mocomoco.com/
Sephoraはフランスで香水や化粧品を展開するリーダー企業です。29か国1900の店舗に加え、250のブランドと協業するECサイトを展開し、国際的に発展してきました。
SephoraはPinterestにアカウントを作成し、ユーザーの動向を詳細に把握するよう努めています。ユーザーは気分に合わせて好みの化粧品を「ピン」しておき、後日、保存した画像から商品を購入する傾向がありました。
そこで、SephoraのWebサイトでは全ての商品画像にPinterestでピンする機能を設け、画像を保存してもらい、購入を促すようにしたのです。PinterestのユーザーはFacebookよりも15倍多く利用する、Eメールキャンペーンによるトラフィックが60%増加するという効果も得られました。
ソーシャルメディアは集客を行うマーケティング・プラットフォームとして利用されてきましたが、そのプラットフォーム上で販売も行えるように機能追加が行われてきています。
「Facebookコマース」「LINEコマース」といった言葉が生まれ、興味・関心に関するデータが豊富なプラットフォームが商品の提案に活用されると共に、チャット形式の便利なインターフェースが消費を活性化する期待が持たれています。
宅配注文の王道であるピザがLINEから注文できるようになりました。ドミノ・ピザ公式アカウントを友達登録してから宅配時間や決済方法についてチャット形式で質問に答えるだけでドミノ・ピザの注文が完結します。配達場所は自動で取得された位置情報を修正するのみなので、手続きは簡単です。
Facebookが人工知能型チャットボット機能を導入し、ボットを検索できるボットストア構想を発表した際、そのアプリケーション例として紹介されたのがSpringです。
ファッションECサイトを展開する同社は、チャットボットを使った先進的Facebookコマースの代表例と考えられています。
「今日は何をお探しですか?」「どんな靴が欲しいですか?」「どのくらいの価格帯が良いですか?」このような質問に、ユーザーはFacebookメッセンジャーで回答します。ユーザーの反応に合わせて、人工知能が適切な商品を提示し、ユーザーが気にいった場合は、すぐに決済へと進む仕組みです。
インフルエンサーマーケティングとは、ある業界において有名な人物と提携し、商品やブランドの普及を協力して進める手法です。
ソーシャルメディアの広まりと共に、いわゆる芸能人や有名経営者ではなくとも、ニッチな分野で存在感を持つインフルエンサーが増えてきたのが背景として考えられます。
高品質な個人ブログを書く専門家や、個人で面白い動画を投稿し注目と広告収入を上げるYouTuberなどが増えているのです。ECサイト運営においても、インフルエンサーと提携したマーケティング活動は、少ないコストで自社の信頼性・専門性を訴求するための良い手段となります。
“くみっきー”の相性で知られるモデル舟山久美子氏がディレクターを務めるブランドMICOAMERI(ミコアメリ)はインフルエンサーマーケティングの好例と言えます。
同氏はTwitterで28万人以上、Instagramで20万人以上のフォロワーを抱える一流モデルです。その知名度を活かし、ソーシャルメディアやWebマガジン、リマーケティング、メールマーケティングなどを行い、前年比売り上げ5倍という急成長を遂げました。
“くみっきー”だけに頼るのではなく、インフルエンサーマーケティングは他のイベントでも実施してきました。商品発表やイベントを実施する際には、読者モデルやタレントを招待し、オシャレに敏感なユーザーを取り込んでいます。
動画を投稿して多額の広告収入を得て生活するYouTuberは世界中に存在します。ドイツのYouTuberであるSami Slimaniは、くだらない動画から高級ファッションブランドの画像まで掲載し、インフルエンサーとしての存在感を示してきました。
Instagramでは140万人、その他のソーシャルメディアでも数十万人のフォロワーを有し、大きな影響力を持ちます。国際的なファッションECサイトのAsos(http://www.asos.com/)や英国発のファッションブランドTopman、そして、Tommy Hilfigerまで、多くのブランドと提携を行っています。
企業がインフルエンサーを探す場合、そのジャンルに合わせたタレントを見つける必要があります。ファッション系ECサイトであればSami Slimaniのような有名人を使うのが良いでしょう。
ソーシャルメディア上での情報収集や拡散が当たり前になってくる中で、インフルエンサーを活用するなど口コミを起こすことができれば、その宣伝効果はかなりのものです。
今回は、フォロワー数の多い有名人をインフルエンサーとして活用している事例でした。加えて、フォロワー数は有名人ほど多くはないながらも、エンゲージメント率の高いマイクロインフルエンサーが注目されています。
マイクロインフルエンサーについて詳しく知りたい方は併せて「キーワード検索増加中!!話題のマイクロインフルエンサーとは?」をご参照ください。