こんにちは。ウェブアナリストの小川卓です。
本連載では「ウェブサイトを分析して改善するためのプロセス」について紹介をしていきます。実際に筆者がどのようなプロセスでサイト分析をしているかをお見せできればと考えております!
「ウェブサイト改善プロセスを学ぶ」連載の記事一覧
ウェブサイト改善プロセスを学ぶ:Part8 改善提案レポートを構成して作成する
ウェブサイト改善プロセスを学ぶ:Part7 改善施策を考える
ウェブサイト改善プロセスを学ぶ:Part6 気付きから改善方針を決める
ウェブサイト改善プロセスを学ぶ:Part5 ウェブサイトの分析を行なう
ウェブサイト改善プロセスを学ぶ:Part4 解析ツールの確認を行う
ウェブサイト改善プロセスを学ぶ:Part3 分析の基本方針を決める
第6回では分析から偉られた気付きを元に改善の方針を決めるというプロセスを紹介いたします。分析から得られる3種類の気づきと、改善の考え方を学んでいきましょう。
分析から得られる気づきは主に以下の3つに分類することが出来ます。基本的に「分析」とは以下の3つの内容を発見する事が大切とも言えます。
項目 | 具体例 |
サイトの良い所を発見する | ・一覧ページで絞り込みを行なうと、詳細ページへの遷移率が向上 ・4つある特集の中で、特集Cが最もコンバージョン率が高い ・リスティングとバナー広告では前者の方が獲得あたりのコストが安い |
サイトの悪い所を発見する | ・Aというランディングページの直帰率は82%とサイト平均や他のランディングページと比較して高い ・メールマガジンDは流入は多いが、全くコンバージョンに貢献していない |
特徴を見つける | ・毎週木曜日の夕方が最もサイトへの流入数が多い ・商品詳細ページの見る回数が増えるとコンバージョン率が上がるが、5件以上は変化が無い ・夏服はゴールデンウィーク明けから検索回数が一気に伸びる |
この3つの気づきに対して「改善施策の考え方」は非常にシンプルです。
といった具合になります。
なお、この3つの中で、最も改善を行いやすいのは「サイトの悪い所を発見して、それを減らすことです」。これには理由が2つあります。
1つは「サイトの悪いところ」を改善する際に、サイト内にある他のページが参考になるというのが、その理由です。例えばランディングページが5つあり、その中の1つの直帰率が高い場合、他の4つのランディングページが参考になります。他の4つのランディングページと直帰率が高いランディングページでは、ページ内における要素やレイアウトが違うかもしれません。あるいは、流入元のクリエイティブや広告の流入比率が違うかもしれません。
このように改善のヒントを他のページを見ることで探すことが出来るため、比較的対策が見つけやすいです。
もう1つは「失敗確率が低い」ということです。上記の気付きから続く内容ですが、ビジネスにおいて大切なのは失敗確率を下げることです。それは施策を実行するために時間や予算が限られていることが多いためです。良いページを更に伸ばすというのは難易度が高く、傾向に関しても必ずしもすぐに活かせるとは限りません。まずは悪いところから手をつけましょう。
ウェブサイトはバケツと例えると、まず大切なのはそこに注ぐ水の量を増やしたり、バケツを大きくする事ではありません。まずはバケツの「穴」を塞ぎましょう。
また、効率よく改善を行なうためには「大きな穴から塞ぐ」ことが大切になります。アクセス数が多いページや、他と比較して明らかに悪いページや流入元から改善する事を優先しましょう。
今回は分析から得られる気づきと改善の基本方針に関する説明をいたしました。まずは分析から得られた気づきを整理してみましょう。次回は、具体的な改善施策の考え方を紹介していきます。
お楽しみに!
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ウェブサイト改善プロセスを学ぶ:Part8 改善提案レポートを構成して作成する
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【プロフィール】
小川 卓(おがわ たく)
ウェブアナリストとして、マイクロソフト・ウェブマネー・リクルート・サイバーエージェント・アマゾンで勤務後、フリーに。複数社の社外取締役やデジタルハリウッド大学院の客員教授として活動.。コンサルティング・勉強会・執筆に従事。
主な著書に「ウェブ分析論」「ウェブ分析レポーティング講座」「漫画でわかるウェブ分析」「Webサイト分析・改善の教科書」「あなたのアクセスはいつも誰かに見られている」など。
※KOBITブログでは、毎月1~2本程度、小川卓さんに記事を寄稿いただいております。
どれも興味深い記事となっておりますので、ぜひ他の記事もご覧下さい。
→小川卓さんによる寄稿記事を読む