GoogleやFacebookなどのデジタルプラットフォームはマーケティングだけのためなのでしょうか?確かに大部分はプロモーションやブランディング用途に使われますが、ヒューマンリソースでもこのデジタルプラットフォームは非常に重要なツールとなります。世界では優秀な人材確保から離職率の増加を防ぐために、デジタルを活用する企業がたくさんあります。
今回はマーケティングではなくヒューマンリソースの観点からデジタルプラットフォームの活用法を紹介したいと思います。ちなみに、リクルーティングプラットフォームの代表例といえばLinkdInが上げられますが、まだまだ日本では一般的ではないので、FacebookやGoogle、E-mailなど皆さんが親しみの持てるプラットフォームに特化していきたいと思います。
日本ではリクルートエージェンシー業界がかなり発達していますので、よくエージェンシーのFacebookページの広告から求人を見かけます。しかし、エージェンシーでの人材獲得はかなり費用が掛かります。特に、今東南アジアに進出している企業が多いかもしれませんが、東南アジアの人材をエージェンシーで獲得するとかなりの手数料を持っていかれます。これは非常にもったいないです。自社で広告を運用して獲得していった方がかなり安く済ませます。
というのも、東南アジアではFacebook広告の値段は先進国とかなり違います。以前、私自身も日本、アメリカ、イギリス、東南アジア別々に動画広告を配信していたのですが、日本やアメリカ、イギリスなどは頑張ってもCPCは30円代までしか下げれませんでしたが、東南アジアでのCPCはなんと10円以下まで抑えることができました。ちなみに、ミャンマーの企業がリクルーティングのためにFacebook広告を利用したところ、3万円から6万円で運用できたそうです。破格の値段ですよね。理由としては、まだ東南アジアでFacebook広告を出稿している企業が少なく安く入札できること、もしくは東南アジアは物価が安いということなどが考えられます。いづれにせよ、かなり安く済むことには変わりありません。
また、FacebookやGoogleは世界共通のプラットフォームであることが、リクルートエージェンシーにはない大きなメリットです。もちろん、最近ではグローバル人材に対応しているエージェンシーも増えていますが、やはり限界はあるものです。世界共通のプラットフォームを利用すれば、エージェンシーが網羅していない優秀な人材にリーチすることができるかもしれません。ミャンマーの企業の話しに戻りますが、Google Adwordsで求人広告を出したところ、クリック率が3%で応募してきた人の数のコンバージョンレートがなんと4.1%だったそうです。コンバージョンレートが4.1%はかなりのものですよね。
このように、安価で効率的にグローバル人材を集めるなら自社でFacebookやGoogleなどのプラットフォームを利用した方が圧倒的に効果が高いことが分かりますね。また、こういったプラットフォームの広告のターゲティング機能はかなりの高い精度がありますので、しっかり運用の仕方が分かれば日本での人材獲得にも効果的だと考えられます。
セミナーに参加してくれた人、プレエントリーしてくれた人など、ヒューマンリソースの部署ではたくさんの見込み人材のメールアドレスを抱えていると思います。これを使わない訳にはいきませんよね。マーケティングで言えば、ファンネルのわりと下の方まで落とし込んでいるということなので、応募してくれるまで後少しです。
恐らく日本の人事の皆さんの中にも、そういった見込み度が高い人にメールを送っていると思います。しかし、メールの内容をしっかり考えていますか?事務連絡的な内容になっていませんか?いつかは同僚になるかもしれない人達でも、採用するまでは見込み人材はお客さんのようなものです。しっかりコンテンツを練っていかなければなりません。
IBMでは応募獲得のためにメルマガコンテンツのクオリティ向上に力を入れています。その中でも、最も反応が良かったのが動画コンテンツです。IBMの文化や採用プレスなどを紹介した短い動画を配信したところ、なんとメルマガのクリック率が50%を超え、さらにコンバージョンレートも40%上昇したとのことです。コンテンツの重要性がわかりますよね。
採用したらそれで終わりなのでしょうか?恐らく違うと思います。ヒューマンリソースの役割の1つは離職率を下げることだと思います。離職の理由には色々あると思います。給料、職場環境、仕事内容、立地などが影響してきますね。会社の秩序を守りながら、従業員のあらゆる事情、ニーズに合わせることが人材管理において非常に重要になります。これはマーケティングに似てますね。価格、機能、場所などのニーズを満たすことによって、始めて顧客を獲得できます。
そういった観点から、今顧客管理で利用するCRMツールのようなもので人材管理する企業が出て来ています。従業員の住所などの個人情報はもちろんのこと、給料、や仕事内容、満足度などをデジタルツールで管理するのです。
例えば、オフィス移転する時、通うのがキツくなって辞めてしまう人もいます。それが優秀な人材だったら企業はどうするでしょうか?恐らく家賃補助などの福利厚生を提供するでしょう。それを移転した後に気づいても、辞めることを決意してしまったり、見積もってた移転予算を超えてしまう可能性がありますよね。デジタルツールで従業員の情報を管理出来れば、そういったことも効率的に対応することができるのではないでしょうか。
如何でしたか?人材獲得から人材管理まで、あらゆる面でデジタルマーケティングの知識は活用することができます。共通して言えることは、人材も顧客と一緒であるということです。振り向かせるコンテンツも必要ですし、ニーズを汲み取って管理する必要もあります。人材に関して課題を抱えている企業は一度参考にしてみて下さい。
参照:Forbes, 3 Proven Digital Marketing Strategies For HR In Asia