前回の記事「なぜ流行らない…キャズム理論から学ぶ大流行の波に乗せる3つの手段」では、キャズム理論に基づいて、初期市場からメインストリームへと広げて行く手段としての口コミマーケティングの手法3つを紹介しました。
なかでも、今大注目なのが、インフルエンサーマーケティング。今年5月からの月間検索数が1万件近くにのぼり、若者に人気のInstagramでの活用が期待されています。その効果と、マーケティングに活用する上で知っておきたいマイクロインフルエンサーについて、事例をまじえてご紹介します。
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2015年5月の調査では、部門によって差があるものの、インフルエンサーマーケィングでは広告費1ドル当たり平均6.85ドルのメディア価値が生み出されていたそうです。
別の調査では、口コミが従来型の広告の2倍のセールスを記録したというデータや、70%のユーザーが広告よりもコンテンツから商品の意思決定に関わる情報収集を行うというデータがありました。つまり、ユーザーは従来のような広告の情報を信頼しなくなっており、コンテンツや口コミから情報を得ようとしています。
またインフルエンサーとはそのテーマや分野における影響力のある人なので、そのようなユーザーはインフルエンサーの影響を受けやすいのです。
今回は、インフルエンサーマーケティングの中でも、Instagramにおけるトレンドについてふれていきたいと思います。Instagramでのアクティブな広告主の数は50万件を超えました。これは2016年2月と比べ、7ヶ月で2倍になっています。また、ユーザーは月間で5億人を超え、1日では3億人に上ると言われています。
大注目のInstagramにおけるインフルエンサーマーケティングですが、一方で課題もありました。フォロワーの数が大きいような有名人を採用しようとすると莫大な予算が必要となっていたことや、このような文章で投稿してほしいといった連絡をそのままキャプションに付けて投稿してしまい、広告であることがフォロワーにバレてしまうといったことです。 ステルスマーケティングのようなヤラセを嫌う傾向が強い中、こうしたミスは避けていきたいですよね。
加えて、フォロワーの数がそのエンゲージメント率に直結しないこともわかってきました。DIGIDAYのある記事では、影響力が最大となるのはフォロワー数が1万〜10万の層であり、彼らを「マイクロインフルエンサー」と名付けています。
また、LIDDELL株式会社の調査によると、国内企業がInstagaramでのインフルエンサーマーケティングを実施する際に求めるフォロワー数は、1000〜4999のフォロワーのクラスで45%と最も多く、1000〜2万フォロワーのクラスまでの合計が96%を占めています。国内でもマイクロインフルエンサーの注目が高まっているといえそうですね。
以前の記事で紹介したインフルエンサーの事例(米DICK’S社)からもわかるように、ミーハーなファンが多くエンゲージメントに繋がらないインフルエンサーよりも、ターゲットとなるフォロワーを持つインフルエンサーに着目していくことが、今後のインフルエンサーマーケティングの成功の鍵となりそうです。
ここからは、米インフルエンサーマーケティング企業SEENのインフルエンサー活用の事例を2つ見ていきましょう。
SpaghettiOsとは、缶詰のチーズとトマトのスープパスタで、年間1億5,000万個売れるほど人気の商品です。
SpaghettiOsは彼らの商品が小さい子供に人気があり、忙しいお母さんに選ばれていることを認識していました。そこで50周年記念に際し、Instagramに家族の写真をよく投稿している父親、母親をインフルエンサーとして指名したのです。 加えて、SFや漫画、ビデオゲーム好きな人を採用し、特別なスターウォーズ版の缶の販促をしました。
この事例では、インフルエンサーの選定の段階で、自分たちの商品が誰に使われるもので、そのターゲットに響かせることのできる人物がどのような人なのかを完璧に見極めることができていたことが成功の要因となっています。
Hilton Garden Innとは、ヒルトンホテルが展開してるホテルブランドです。Hilton Garden Innでは、アメリカの19の都市で、その都市を訪れたゲストのためにインタラクティブマップを作ろうと考えていました。彼らは、その都市に住む写真家を採用し、街中のお気に入りの場所を写してもらうことにしたのです。結果として、人気のある都市のまだ観光地になっていない場所のガイドにもなり、ゲストに大きな付加価値を提供することができました。
この事例の特徴は、インフルエンサー自身が自由に表現をしている点にあります。Hilton Garden Inn側では、インフルエンサー選定の段階でブランドに合う人材を選び、かつ彼らに必要なツールと、ブランドに関する情報提供までの役割を担いました。
狙い通りのコンテンツになるか、依頼する側としては不安になることもあるかもしれませんが、こうした自由度の高さもまた、元々コンテンツの質の高いインフルエンサーの強みを生かすためのポイントかもしれません。
インフルエンサーマーケティングをしていくにあたっては、いかに、ブランドとマッチする人材を選定するかがかなり重要になってくるようです。
インフルエンサーとはSNSを通じて直接連絡を取るというのも一つの手段ですが、インフルエンサーのマッチングサービスも活用できるのではないでしょうか。国内では、SPIRITや reviewsといったサービスがあるようです。
勢いの止まらないInstagram、そしてインフルエンサー・マーケティングに今後も注目していきたいところですね。