前回コラム大塚家具、クイックシルバー、CCレモン B2C動画マーケティングの事例10選【前編】に続き、B2C動画マーケティングの事例を紹介していきます。今回は【後編】として、ネスレ(nestle)、ダヴ(Dove)といった有名ブランド・メーカーの5つの例を紹介します。
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=E8-XKIY5gRo
世界的な家庭用品メーカーであるユニリーバは、スキンケア・ヘアケア製品のブランド「ダヴ(Dove)」を製造・販売しています。制汗/脱臭スプレー、ボディウォッシュ、化粧石けん、ローション、フェイシャルケア製品などが主力製品です。
ダヴは2006年よりダヴ自信向上基金の活動を始め、「少女たちがより広く多様に定義された美に目を向け、自分たちにもっと自信を持つように、教育や刺激を与え、変化を手助けすること」を目標にしています。このビジョンを具現化した動画が「リアルビューティー・スケッチ」です。
まず、モンタージュ画家と一人の女性がお互いの姿を見えない状態で登場します。女性が自身の容姿の特徴を説明し、それを元にモンタージュ画家が彼女の似顔絵を描きます。次に、第三者から同じ女性の特徴を聞き出し、画家が似顔絵を作成します。
出来上がったそれぞれのスケッチを比べると、「自分の思う顔」より「他人の目に映る顔」の方が美しく仕上がっており、多くの女性が自身の容姿を実際より悪く認識していることを表しています。
「あなたはあなたが思っている以上に美しい」のメッセージは多くの人の胸を打ち、カンヌ国際フェスティバル・チタニウム部門のグランプリを受賞しています。200万回以上再生され、日本でも有名になった動画広告です。
口コミを起こすポイント | 評価 |
---|---|
社会的な評判 | ★★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★★★ |
感情の高ぶり | ★★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★★★ |
物語性 | ★★★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=gVY220ECU2A
イギリスの果物飲料メーカー・ロビンソンズの動画は二人の子供が遊んでいる様子が描かれます。この動画のオチは、一方の子供は実は父親であったことで、最後に「父親になることは素晴らしい。友達になることはもっと素晴らしい。」というメッセージが伝えられます。
果物飲料が描く家族のイメージが共感を生み、130万回以上の再生回数を誇りました。
口コミを起こすポイント | 評価 |
---|---|
社会的な評判 | ★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★★ |
感情の高ぶり | ★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★★ |
物語性 | ★★★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=N_X_h8cCKcA
レッドブルは「翼をさずける」でお馴染みの清涼飲料メーカーで、モータースポーツをはじめとする各種スポーツを通したブランド戦略で有名になりました。
レッドブルが企画したバズ動画は、忍者のように飛んだり跳ねたりしながら運動するフリーランニング(パルクール)界のスターであるジェイソン・ポール氏とのタイアップでした。ジェイソン・ポールが運動する様子に錯視の効果を組み合わせることで、不思議なイリュージョンを生み出しています。
230万回の再生を重ねた動画は世界中で話題になりました。また、撮影の裏側を収めた動画も合わせて公開することで、より視聴者の注目を集めると共に、撮影がCGではなく実際になされたものであることを裏付けることに成功しました。
口コミを起こすポイント | 評価 |
---|---|
社会的な評判 | ★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★ |
感情の高ぶり | ★★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★ |
物語性 | ★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=uaWA2GbcnJU
タイ生命保険は「Believe in good(良心を信じる)」キャンペーンとして、多数の「いい話」を収録した動画を公開しています。特に「Unsung hero(賞賛されないヒーロー)」という動画は2600万回視聴され、世界中で話題になりました。
この動画では、一人の青年が皆に呆れられるほどの“いい人”ぶりを発揮しているものの、お金持ちになるわけでもなく、有名になれるわけでもない平凡な人生を送る様子から始まります。この青年はなぜ人のために何かをしようと思うのでしょうか?その理由は、お金では買えない愛情や感情の大切さを知っているからです。
何のために生きるかという重要なテーマを上手く描き、バズる動画に仕上げました。
口コミを起こすポイント | 評価 |
---|---|
社会的な評判 | ★★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★★ |
感情の高ぶり | ★★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★★ |
物語性 | ★★★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=8Gr1OJbidw8
乳がんの啓蒙活動であるピンクリボン運動と連動し、食品・飲料メーカーのネスレ(nestle)は乳がんの認知度を高めるためのユニークな動画を公開しました。胸元が大きく開いた女性のブラジャーに隠しカメラを設置し、一日のうちに何回胸元が人に見られたのかをカウントしていく企画です。
老若男女、動物と問わず、色々な人が胸元をチェックしますが、動画の最後には「あなた自身の胸をチェックしたのはいつですか?」と乳がん検診を促すメッセージが流れます。
バズる動画においてセクシー要素は定番コンテンツですので、ピンクリボン運動という社会貢献との組み合わせによって960万回再生というヒットを記録したのも頷けます。
口コミを起こすポイント | 評価 |
---|---|
社会的な評判 | ★★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★★ |
感情の高ぶり | ★★★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★★ |
物語性 | ★★★★★ |
動画マーケティングを成功させるには動画にインパクトを持たせることが重要ですが、インパクトは見た目だけを指す言葉ではありません。
本コラムで挙げた例のように、柔軟な発想で別の角度から物事を捉え、それを動画で表現することで視聴者に驚きを与えることもできます。心に残る動画を作成することが、ブランドやメーカーのイメージアップにつながり、売上等の数字にもつながっていきます。