前回コラムGeneral Electric、Valspar Paint B2B動画マーケティングの事例10選【後編】に続き、今回からはB2C動画マーケティングの事例を紹介していきます。今回は【前編】として、CCレモンをはじめとする国内外の5つの例を紹介します。
B2Cにおいては動画マーケティングが頻繁に利用されています。オンライン動画を用いることでテレビとは異なる顧客層に向けてブランド認知を高めることが期待されます。
消費者は様々な情報に晒されているので、その中で目立つのは簡単ではありません。成功した事例はそれぞれ秀逸なアイデアが含まれているのが理解できるでしょう。
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=qHFr1_md3Ok
サントリーの炭酸飲料CCレモンは2014年の売れ行きシーズンを迎えて、印象的な動画を公開しました。
女子高生2人が登場し、熱海を舞台に追いかけっこを始めます。次第にバク転や後方宙返りなどアクションが派手になり、さらに、「まきびし」「けむり玉」などの忍術も登場します。最後にCCレモンで乾杯するという忍者動画です。
世界中からアクセスを集め、700万回の再生を記録したこのCCレモンの動画は、バズる動画の定番的な要素を多く含んでいます。
スマートフォンを用いた素人投稿的な演出、可愛い女子高生が持つ意外な特技、宣伝色を抑えたシンプルなメッセージ。バズる動画のお手本となる作品と言えるでしょう。
口コミを起こすポイント | 評価 |
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社会的な評判 | ★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★ |
感情の高ぶり | ★★★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★ |
物語性 | ★★★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=8vShxUj4Quw
経営方針をめぐり会長の父と社長の娘が対立する親子喧嘩として話題になった大塚家具。2015年7月には親子喧嘩を暗喩する2本の動画を公開しました。
大塚久美子社長と同じ髪型をした娘が「父がすみません」と謝る一本と、揉めている父と娘に向かって母が「喧嘩しない」と諭す一本になっています。それぞれ27万回、15万回以上再生され、親子喧嘩騒動をポジティブな話題へと切り替えることに成功しました。
動画と共に発表したビジョン改革、ロゴ刷新、乗り換えキャンペーンなどが好感を呼び、株価の上昇も見られました。
口コミを起こすポイント | 評価 |
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社会的な評判 | ★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★ |
感情の高ぶり | ★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★★★ |
物語性 | ★★★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=UutiBRDxJ0U
クイックシルバーはアメリカのサーフィン及びスノーボードのブランドです。日本向けに水陸両用防水スーツを発売し、そのユニークさを訴求する動画は話題になり、2015カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルのPR部門で金賞を受賞しました。
その防水性能により、着替えることなくオフィスとビーチを行き来できるという“斜め上”のアイデアに脱帽です。
口コミを起こすポイント | 評価 |
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社会的な評判 | ★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★★ |
感情の高ぶり | ★★★ |
人目に触れる | ★★★ |
実用的な価値 | ★★★★ |
物語性 | ★★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=MNCzSfv4hX8
GoPro (ゴープロ) は小型の高精細カメラで、サーフィン・モータースポーツ・スキー・サイクリングなどの極限状態での動画撮影に人気です。その活用方法は無数に広がっていて、ワニやサメの口の中を撮影したり、無人機に搭載して撮影したりするような、これまでの人が手で構える撮影スタイルからの飛躍を可能にしました。
撮影した動画も、これまでにない程、ダイナミックで高品質なため、YouTubeでの人気コンテンツになっています。GoProが公開した動画は軒並み100万回を超える再生回数を記録しており、製品の新たな使い方やブランド認知の向上に大きく貢献しています。
中でも、南アフリカの動物飼育係ケビン・リチャードソンが野生のライオンと戯れている動画は人気となり、2800万回視聴されました。
口コミを起こすポイント | 評価 |
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社会的な評判 | ★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★ |
感情の高ぶり | ★★★★ |
人目に触れる | ★★ |
実用的な価値 | ★★★ |
物語性 | ★★★★ |
リンク:https://www.youtube.com/watch?v=y6Sxv-sUYtM リンク(Happy福島版):https://www.youtube.com/watch?v=B-pk8z8rX2U
音楽は動画によるプロモーションが一般的なので、数多くの事例を見つけることができます。日本ではAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の動画が多くの視聴を集め、企業や自治体の「踊ってみた」動画が多数投稿される、大きな参加コミュニティを形成しました。
音楽の事例の中でも、特に大きな世界的トレンドを生み出したのが、ファレル・ウィリアムスが2011年に発表した「Happy」です。まず、「世界初の24時間ミュージックビデオ」と称し、4分程度の同曲がリピートされながら、実際に朝から夜、そして翌朝までの24時間が展開されました。この取り組みは世界中に伝播し、世界中の人々が歌って踊る幸せな自分の動画を投稿するようになりました。
日本では福島を始め、全国各地でトリビュート動画が作成され、現地の人々がHappyに毎日を過ごしている様子が表現されています。世界的なトレンドになった楽曲の基になったミュージックビデオは7億回もの再生回数を記録し、19カ国でチャートの1位、全世界で1000万枚以上売り上げるという大ヒットになりました。
口コミを起こすポイント | 評価 |
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社会的な評判 | ★★★★ |
思い出すきっかけ | ★★★★★ |
感情の高ぶり | ★★★★ |
人目に触れる | ★★★★ |
実用的な価値 | ★★★ |
物語性 | ★★★★ |
B2C動画マーケティングは頻繁に行われているため、目立つためにはより動画にインパクトを持たせる必要があります。
CCレモンの例のような意外性、Happyの例のような共感性等が重要な要素となりますが、大塚家具の例のように「世間の話題に便乗する」ことも有効となる場合があります。