2015年10月に広告を出稿する企業の間口が広がったInstagramは、まだまだ広告主にとって出稿に関するノウハウが集まっているとは言い難い状況にあります。どのような広告素材を使えば“おしゃれな”雰囲気を重視するユーザーから反感を買わないのか?面白いだけではなく、売り上げやWebサイト訪問者数に直結する投資対効果の高い方法はあるのか?といった疑問が湧いてくるでしょう。本記事では積極的にInstagram広告へ取り組む有名企業の取り組みを紹介します。
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Instagramは2013年に企業広告を開始し、選定基準をクリアした一部の大企業にのみ出稿を許可していました。しかし、2015年10月から、どの企業でも広告が出稿できるよう変更されています。歴史の浅いInstagram広告ではどのような広告が効果を上げているのでしょうか。
Instagram広告を出稿する際には、そのプラットフォームが持つ“雰囲気”に合致させる必要があります。流行に敏感な若者が美しい画像や動画を楽しむ空間にこだわりを持っているため、それを台無しにしてしまうような商業主義的広告素材はユーザーからもInstagramからも敬遠されてしまうでしょう。
Instagram広告の特徴は、画像や動画に特化している点が挙げられます。Googleの検索連動広告のようなテキスト中心ではなく、イメージに訴える広告素材を使用する必要があります。文章がほとんどなくても、正しいメッセージが伝えられるような工夫が求められるのです。
企業は質の高い広告素材を使用し、ユーザーの心を捕らえるよう努めてきました。大手企業は有名人を起用したり、専門性の高い商品を中心に据えたりする方法をとっています。ストーリー性が伝わるような面白い広告も、アイデア次第で大きな広告効果が狙えるでしょう。有名企業のInstagram広告事例から、自社における広告素材のアイデアを膨らませてみてはいかがでしょうか?
スポーツブランドで有名なナイキは、プロボクサー村田諒太を迎え、トレーニングシューズ・ウェアの広告を開始しました。有名人を起用しブランドイメージの向上を図るのは、Instagram広告の王道と言えるかもしれません。ナイキのWebサイトを訪問すると、村田選手のインタビュー記事やその他の動画が閲覧できるので、ユーザーの興味をより引き立てる仕組みになっています。
パナソニックが展開する「ふだんプレミアム」は“普段の生活の中にこそ特別な体験がある”というコンセプトのもと、Instagram広告を展開しています。一枚の画像で、新しい家電の在り方を提案することに成功しています。キャンペーンサイトもInstagramと同様、シンプルな画像や動画のみで構成されており、文字による解説が少ないところが興味深い点ではないでしょうか。
海外旅行は、異国での体験が魅力的に映るため、視覚による興味喚起が有効になる代表例です。実際、格安旅行代理店大手HISは画像を活用したInstagram広告を出稿し、季節限定ツアーなどのプロモーションを展開しました。色合いや画像の配置などの工夫もあり、旅行気分を盛り上げてくれます。
男性用エステティックサロンを展開するダンディハウスは積極的なテレビCMや交通広告展開で知られています。その広告戦略はInstagram広告にも活かされ、ダンディハウスの洗練されたブランドイメージが、Instagramが作り上げる世界観によく合致しています。
トヨタの高級車ブランド・レクサスは米国向けのInstagramアカウントを開設しました。ラスベガスでのプレス向けイベントをアピールするために、黄色を基調としたスポーツカー・LFAを広告素材として使用しています。見栄えのする高級車はInstagramの人気コンテンツと言えるでしょう。
世界最大のスーパーマーケット・ウォルマートはInstagram広告を出稿しています。かわいらしい子犬の形をしているのはクッキー入れ。この商品自体を宣伝するというよりも、Instagramの雰囲気に合致した“かわいい”商品を投稿し、画像の共有・拡散を狙っているのでしょう。Instagramでは広告といえども、企業から消費者へ一方向に進むものではなく、「いいね!」などのエンゲージメントを期待する双方向性のコンテンツになっているのです。
フィラデルフィアは、チーズ売り場に行くと必ず見かけるブランドとして定着しています。オーストラリアでは、料理好きの人々にクリスマス用のレシピを提供するキャンペーンを開始しました。南半球にあるオーストラリアでは夏にクリスマスがあるので、夏とチーズを連想させる広告を配信し、売り上げの向上に貢献しています。
グローバル企業であっても各国での嗜好や関心に合わせて広告キャンペーンが最適化され、展開されます。米国の化粧品会社メイベリンニューヨークは、日本向けInstagramアカウントを開設し、広告を出稿しています。最新情報やキャンペーン、メイク方法の解説など、インパクトの強い画像が目を引きます。
世界最大の産業機械メーカーのGE(ゼネラル・エレクトリック)はInstagram広告に積極的です。工場と思しき場所に設置された航空機向けエンジンを公開し、他では真似のできない画像を作成しました。B2B向けのビジネスが事業の軸となっているGEですが、Instagramを通してブランド認知の向上に励んでいます。
ドイツのスポーツブランド・アディダスは、米国のバスケットボール選手デリック・ローズを起用し、Instagram広告を出稿しています。ゴールに背を向けたローズ選手が得点を狙う企画が興味を惹きます。意外性のある画像はInstagram広告で成功を収める可能性が高いのかもしれません。アディダスのWebサイトを訪問すると、ローズ選手と提携したスポーツウェアやバスケットシューズなどが多く並びます。彼を愛するファンにとっては、多いに購買意欲を消費される広告だと言えるでしょう。
Instagramは若者を中心に普及し、マーケティング向けプラットフォームとして目が離せない存在になってきました。予算の潤沢な有名企業は興味深い広告キャンペーンを展開しているので、参考になる点・ならない点を分析し、自社での応用を検討すると良いでしょう。