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マーケティングテクノロジー業界のカオスマップ完全解説!

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マーケティングテクノロジー業界は変化が激しく、多くの企業が栄えては消えていきました。関連するサービス提供者をカテゴリに分けて、全体像が理解しやすいようにした業界地図は「カオスマップ」と呼ばれ、専門家の手によって作成されています。マーケティングオートメーションやビッグデータ活用が進む昨今、カオスマップはどのような分類を行っているのでしょうか。米国で作られたマーケティングテクノロジー業界のカオスマップを詳細に解説します。

3874社を網羅する米国版カオスマップ

マーケティングテクノロジー業界のカオスマップは2011年より毎年、Chief Marketing Technologist Blog編集長スコット・ブリンカーによって作成されています。掲載されるソフトウェアやサービスは年々増え続け、2011年に約150社だったベンダーは、2016年版では3874社まで達しました。IBM、マイクロソフト、オラクル、セールスフォースといった大企業からニッチなベンダーまで網羅された力作です。

2016年版のカオスマップでは6個のクラスター(大きな括り)と49個のカテゴリ(小さな括り)に3874社が分類されました。クラスターは以下の通りです。

  • Advertising & Promotion(広告と宣伝)
  • Content & Experience(コンテンツとユーザー体験)
  • Social & Relationships(ソーシャルメディアと関係構築)
  • Commerce & Sales(Eコマースとセールス)
  • Data(データ活用)
  • Management(経営管理)

クラスタ―の分け方は毎年変わっていきますが、2016年は現在のデジタルマーケティング活動を端的に表したものと言えるでしょう。まず、広告を出稿し、ユーザーに自社の存在を知ってもらった後に、コンテンツを提示し、ユーザーとの関係を構築します。次に、ソーシャルメディア等で繋がりを保ちながら最終的にセールスにつなげます。そして、取得したデータは、さらなる広告宣伝や商品開発につなげるため、解析の対象とします。最後に、マーケティング活動全体を最適化するための経営管理が欠かせません。

マーケティングテクノロジーの分類一覧

49個のカテゴリは以下のように分類されています。現代のマーケティングテクノロジーの全体像がよく表れているのではないでしょうか。

  • Mobile Marketing:モバイル向け広告
  • Display & Programmatic Advertising:ディスプレイ広告とプログラマティック広告
  • Search & Social Advertising:検索エンジンとソーシャルメディア広告
  • Native/Content Advertising:ネイティブ広告とコンテンツ連動型広告
  • Video Advertising:動画広告
  • Print:印刷
  • PR:プレスリリース
  • Mobile Apps:モバイルアプリ向けマーケティング
  • Video Marketing:動画プラットフォーム
  • Interactive Content:対話式コンテンツ
  • Email Marketing:Eメールマーケティング
  • Content Marketing:コンテンツマーケティング
  • Optimization, Personalization & Testing:最適化、個人向け最適化、テスト
  • DAM & MRM:デジタル資産管理、マーケティングリソースマネジメント
  • SEO:検索エンジン最適化
  • Marketing Automation & Campaign/Lead Management:マーケティングオートメーション、キャンペーン及びリード管理
  • CMS & Web Experience Management:コンテンツ管理システム、Webシステム管理
  • Call Analytics & Management:電話営業分析と管理
  • ABM:アカウント・ベースド・マーケティング
  • Events, Meetings & Webinars:イベント、打ち合わせ、オンラインセミナー
  • Social Media Marketing & Monitoring:ソーシャルメディア・マーケティングとモニタリング
  • Advocacy, Loyalty & Referrals:支援、ロイヤルティ・プログラム、紹介
  • Influencers:影響力を持った人
  • Community & Reviews:コミュニティと口コミ
  • Feedback & Chat:意見収集とチャット
  • Customer Experience, Service & Success:ユーザー体験、カスタマーサポート
  • CRM:顧客関係管理
  • Retail & Proximity Marketing:小売り、オンサイト・マーケティング
  • Channel, Partner & Local Marketing:チャネル、パートナー、地元密着マーケティング
  • Sales Automation, Enablement & Intelligence:セールスオートメーション、営業支援と分析
  • Affiliate Marketing & Management:アフィリエイト・マーケティングと管理
  • Ecommerce Marketing:Eコマース・マーケティング
  • Ecommerce Platforms & Carts:Eコマース・プラットフォームと買い物カゴ
  • Audience/Market Data & Data Enhancement:見込み顧客、市場データ、データ補完
  • Marketing Analytics, Performance & Attribution:マーケティング分析、業績評価、アトリビューション分析
  • Mobile & Web Analytics:モバイル、Web行動分析
  • Dashboard & Data Visualization:ダッシュボードとデータの可視化
  • Business/Customer Intelligence & Data Science:業績及び顧客の分析、データ・サイエンス
  • iPaaS, Cloud/Data Integration & Tag Management:統合サービス、クラウド及びデータ統合、タグマネジメント
  • DMP:データ管理プラットフォーム
  • Predictive Analytics:予測分析
  • Customer Data Platforms:顧客データ・プラットフォーム
  • Talent Management:人材管理
  • Product Mgmt:製品管理
  • Budgeting & Finance:予算と財務
  • Collaboration:チーム作業
  • Projects & Workflow:プロジェクト管理とワークフロー
  • Agile & Lean Mgmt:アジャイル開発とリーン開発の管理
  • Vendor Analysis:ベンダー管理

成長するマーケティングオートメーションや統合サービス

多くの企業群が集まっているカテゴリには注目が集まります。「セールスオートメーション、営業支援と分析(220社)」「ソーシャルメディア・マーケティングとモニタリング(186社)」「ディスプレイ広告とプログラマティック広告(180社)」「マーケティングオートメーション、キャンペーン及びリード管理(161社)」「コンテンツマーケティング(160社)」が上位に名を連ねました。任意のカテゴリ分けとはいえ、これらの分野で競争が激しく、市場が拡大している点は理解できます。

カオスマップの作者スコット・ブリンカーは、2016年版の特徴として、プラットフォームの共存を指摘しています。多くのユーザー企業は、例えばセールスフォースのような一つのプラットフォームに全てを丸投げするよりも、複数のプラットフォーム企業を組み合わせて利用する傾向が高まっているのです。「統合サービス、クラウド及びデータ統合、タグマネジメント」のカテゴリが急増しているのは、複数サービスを並列で使用するニーズを表しているのでしょう。

カオスマップの使い方

スコット・ブリンカーのカオスマップは、LUNA Partners社が作成するカオスマップに刺激を受けて作成されたとされますが、二つのカオスマップにはカテゴリ分けに違いが確認できます。LUNA Partnersでは大きなクラスターを以下のように分類しています。

  • Sales & Marketing:セールスとマーケティング
  • Website:Webサイトの最適化
  • Ecommerce Technology:Eコマース関連技術
  • Website Creation & Mgmt:Webサイト開発と管理

マーケティングのプロセスよりも、Webサイトに焦点を絞った分類になっています。カオスマップの面白い点は、作成する人の視点によって見方が異なる所と言えるでしょう。

カオスマップは、Webサイト運営者にとって業界を理解する手助けになります。自社のニーズを満たすソリューションは開発されているのか、現在使っているソフトウェアよりも良い競合製品はないかといった問いにヒントを与えてくれるからです。一つの会社に依存する「ロックイン」の状態に陥ると、最適な選択ができなくなるため、業界の動きを客観的に見る態度が求められます。

一方で、サービス提供者にとってもカオスマップは戦略策定の道しるべになります。多くのソリューションは成熟度にサイクルがあります。初めの内は、ニッチなベンダーが先進的な顧客にソリューションを提供し話題を集めますが、普及が進むにつれて、参入業者が増加し、競争が激しくなります。技術が陳腐化してくると、買収・統合が行われ、収益の確保が行われます。自社がどのサイクルにあるのかを読み解く鍵がカオスマップに隠れているのです。

まとめ

米国で作成されたマーケティングテクノロジーのカオスマップを解説しました。広告、動画、ゲームなど、より詳細なカオスマップも作成されているので、自社の業界に合った情報を探してみると良いでしょう。日本版カオスマップの作成にも期待が高まります。

参考文献


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