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マズローの欲求段階説から考える 承認欲求を利用するグロースハック

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マズローの承認欲求のピラミッド

前回のコラムインフルエンサーマーケティングって? ソーシャルメディアでの集客法に続いて、5つの種類のWebサイトの目的を抽出し、それぞれのグロースハック案について検討していきます。今回は5つ目の「Webサービス」について、目的と打てる施策を挙げていきます。

また、サイト目的別の施策例のまとめの項では、これまでに挙げた5種類のWebサイトについて、施策例を簡潔にまとめました。

Webサービスの目的

Webサービスは、そのWebサイト上での体験が全てです。そのため、Webサービスでは優れたユーザー体験を創り出すことが求められます。

では、優れたユーザー体験とはどのようなものでしょうか?以下のように、7つのポイントが提案されています。

  • 有用性:対象となるユーザー層にとって有益な価値を提供しているか
  • 便利さ:Webサイトの使い勝手がよいか
  • 見つけやすさ:欲しい情報に簡単にたどり着けるか
  • 信頼性:活用事例など、価値を裏付ける情報を提供しているか
  • 分かりやすさ:誰でも使いこなせるか
  • 好ましさ:イメージやキャッチコピーが好意的な感情を抱かせるか
  • 価値があるか:変化する訪問者のニーズに応えているか

優れたユーザー体験を提供しているWebサービスは、顧客を引き付ける可能性を秘めています。そして、グロースハックが果たす役割は、ユーザーが自然に利用開始することができて、継続的な習慣を創り出すところにあると言えるでしょう。

AARRRモデル グロースハックの目標案
Acquisition(獲得) 想定する見込み顧客が適切に集客できること
Activation(利用開始) 新しいサービスを使用する際の不安や「ためらい」を排除し、自然と利用を開始できること
Retention(継続) 「あればよい」ものから「なくては困る」存在になれるよう、利用者の習慣に組み込まれるようにすること
Referral(紹介) 金銭的・心理的なインセンティブにより、新規ユーザーに対する広告塔になってもらうこと
Revenue(収益) 価値を認めた利用者が有償利用に進むこと

承認欲求を刺激する

ゲームの要素を取り込む

Webサービスにおいて、ゲームの要素を取り込むのは有効な手段です。これまでゲームとは考えられていなかったところまで、ゲーム化してしまうことがポイントとなります。

例えば、ユーザー情報を登録したらステージ1はクリア、友人紹介をしたらステージ2をクリアと定義し、その都度バッジを付与したり、アニメーションで賞賛したりするのです。「楽しい」というポジティブな感情を巻き起こすことで、Webサービスの利用開始と継続利用を促進します。

マズローの欲求段階説

バッジを公開プロフィールに掲載したり、ランキング表を作り上位者を表彰したりすることは、人々の欲求を満たすことにつながります。この取り組みの解釈には、心理学で提唱されているマズローの欲求段階説が有効です。

欲求段階説では、人間の欲求には五段階の階層があり、低次の欲求が満たされることで、より高次の欲求に意識が向くようになる心の動きを示唆しています。先進国においては、食欲・睡眠欲などを含む生理的欲求(第一段階)や、身の危険・不安から逃れたいと思う安全欲求(第二段階)はおおむね満たされています。

第三段階の、集団への帰属を求める社会的欲求については、会社などのオフラインのつながりが減っている一方で、ソーシャルメディア等を通したオンラインでのつながりが存在感を増していると言われています。そして、ゲーミフィケーションの報酬が該当するのは、第四段階の承認欲求です。

マズローの五段階欲求仮説

承認欲求

承認欲求は、他人から尊敬されたり、人から注目されたりしたいという欲望を指します。ゲーミフィケーションで承認欲求を刺激することで、Webサービスの利用を促進する狙いがあるのです。

ちなみに、第五段階は自己実現の欲求であり、自己啓発や創造性へのチャレンジを求める心を指します。マズローの欲求段階説に沿って考えると、今後生まれてくるWebサービスは自己実現を支援するものが増えてくるかもしれません。

ウェルカム・ギフト

サービスレベルの指標

高級なレストランやホテルでは、訪問するとすぐにドリンクやフルーツが振る舞われ、訪問客は好意的な気分になると共に、その施設のサービスのレベルを知ることができます。

Webサービスにおいてもウェルカム・ギフトは有効です。単純に利用開始の経済的インセンティブになると共に、どのようにサービスを利用するかを理解する手順の一つにもなります。

PayPalの例

オンライン決済サービスのPaypalは新規利用者に10ドルのキャッシュバックを行いました。それなりのコストにはなりますが、テレビ広告などの大規模投資に比べると遥かに小さな投資でユーザーを増やすことに成功したと言います。

投資対効果を量るには、LTV(顧客生涯価値)という考え方が重要になります。一人の顧客がそのWebサービスに支払った合計金額を指します。平均すると一人のユーザーあたり、月額1000円のサービスを一年使用しているとすれば、LTVは12,000円になります。そして、LTVよりも顧客獲得に要するコストが小さければ、その販売促進活動は成立することになります。

ウェルカム・ギフトに1000円かけたとしても、LTVが12,000円あり、さらにLTVの上昇につながるのであれば、ウェルカム・ギフトは投資対効果があると判断することができるでしょう。

戦略的価格設定

複数の選択肢を提示する

Webサービスにおいては複数の有償プランを用意し、顧客に選択させることが一般的です。複数の選択肢を提示することで、顧客の意識は「使う・使わない」という選択肢ではなく、「どのプランを使うか」という方向に向くので、自然と有償利用に進むことが期待できます。

フリーミアムモデル

最近のWebサービスではフリーミアムモデルが流行しています。フリーミアムモデルは基本的な機能を無償で提供し、付加的な機能を有償で提供する価格設定の方法です。ただし、価格と機能のバランスには詳細な検討が必要です。

無償版であっても、ユーザー体験が優れたものでなければ、誰も使うことはなく、グロースハックの目的が達成できません。一方で、無償版があまりに高機能で、有償版との違いが見いだせない場合、有償版に移行するユーザーが少なくなるという課題が発生します。

DropboxとSpotify

例えば、ファイル共有サービスを展開するDropboxは有償ユーザーが全体の4%しかいないという問題を抱えており、より高い付加価値を提供するために、ビジネスユーザーへのサービスを拡大しています。

フリーミアムモデルを成功させている例は、音楽配信サービスを提供するSpotifyです。Spotifyでは有償ユーザーが全体の20%にも到達し、商業的な成功を収めつつあります。無償版の音楽聞き放題機能と、有償版での高音質サービスなどの付加的機能がうまく差別化できているのでしょう。

Dropboxの提供プラン 

Dropboxの提供プラン https://www.dropbox.com/plans

サイト目的別の施策例のまとめ

今回までのコラムでは、「今すぐできる」グロースハックの立案を目指して、Webサイトの目的別に具体的な施策を紹介しました。

グロースハックの施策を実施するには、アクセス解析などで定量的分析を行う必要があるため、適切なツールの活用が欠かせません。次回からは、グロースハックに有効なツールの紹介を行います。


さあ、KOBITをスタートしよう。