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なぜ、ザッポスやAirbnbで「ネットプロモータースコア」が注目されるのか?知っておきたい顧客満足度調査の3つの壁と8つの重要な仕事

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ネットプロモータースコアについての話をします。ネットプロモータースコアとはザッポスやAirbnbなどの最先端のIT会社などで導入されているKPIの1つで、顧客満足度を数値化する取り組みです。

今まで多くの経営者が顧客満足度について考えてきたと思いますが、多くの経営者は顧客満足を数値化する際に3つの壁を経験します。1つ目の壁は顧客満足度を調査するコストの壁。2つ目の壁は顧客満足度を調査するスピードの壁。3つ目の壁は集まったデータに対する打ち手の壁です。

コストの壁

顧客満足度を調査しようとした場合、どの角度で調査するべきか、その調査にどの程度の妥当性があるか、偏った結果に導くような設計になっていないか、など多面的な検証が必要です。その検証を真面目にやろうとするとどうしても費用がかかります。多面的な検証をするためには質問数を増やさないといけませんが質問数を増やすと、コストが増大してしまいます。

さらに悩ましいのが売り上げ増加や費用削減などのわかりやすい指標とは違い顧客満足は財務的成果に結びついているか判断しづらいという問題があります。例えば1億円の売上アップをしたとします。その売り上げが顧客に知らせずに追加的な費用を請求していたからなのかそれとも良い顧客体験から来るLTVの向上がくるのか、判断をするのが難しいという現実があります。組織が大きくなればなるほどこの現象は顕著で、経営者は現場から報告される報告書をもとに判断をしないとでないため本来は顧客満足度は重要だとわかっていても財務的成果に判断基準を置いてしまい、顧客満足度を上げるための施策に多くのコストを投じることができなくなってしまったりします。

スピードの壁

多面的な調査の場合、アンケート回収するまでの時間も長くなりがちです。1問のアンケートと20問のアンケートを比べると、回答者のハードルも大きく違います。そのため凝ったアンケートの設計をすればするほど調査にかかる時間が増大する傾向にあります。しかし経営者が本質的に欲しいのは今やっている施策に対して消費者がどう思っているのかという指標です。回線スピードが遅くなればそれだけ打ち手を施すタイミングもずれてしまいます。せっかく顧客満足度調査をしてもスピードが遅いと、機会損失が生まれてしまいます。

集まったデータに対する打ち手の壁

さらに問題なのは集まったデータに対する最適な打ち手を考える難易度が高いという問題です。集まったデータを統計的に分析して施策に落とすためには高度な統計的な知識とワンジャンプが必要です。きちんと分析をしきった後で、自社は今後何をするべきなのか、形を模索し実際に実行に移す必要があります。

NPSの登場

Business Acronym NPS as NET PROMOTER SCORE

こういった問題を解決するために有効な手法の1つがネットプロモータースコアの活用です。この方法はとてもシンプルで質問内容が1つしかありません。「あなたはこの商品を誰かに進めたいと思いますか?0から10で答えてください」というものです。この質問は強烈で、消費者のロイヤリティーを分かりやすく測定します。

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さらに凄いのは0から6を批判者として捉え7から8を中立者、9から10を推奨者として捉えるという考え方です。

しかも、

推奨者の割合 - 批判者の割合 = 推奨者の正味スコア(NSP)

という数式を元に評価を行います。9から1はかなり感動していないと選択しないスコアのため、この指標でスコアが高くなっている企業は非常に良い顧客満足度を維持している企業ということになります。

いくつか例を出して考えてみましょう。 nps2

ケース1は70%の方が6と答えている場合です。6なので、5よりは大きくどちらかというとポジティブな反応のように思えますが、NPSの世界では批判者として扱われます。9以上と答えた方は20%ですから、20%から70%を引いたスコアが-50%。なんとスコアがマイナスになってしまっています。非常に満足度の低いサービスであるということが出来ます。

一方ケース2はどうでしょうか。9と答えた方が全体の60%です。4と答えた批判者は10%でしたので、60%から10%を引くと、50%となります。これは非常に高いスコアですね。このようにNPSでは中立者は無視した上でスコアを計算していきます。

なぜNPSは3つの壁をクリア出来るのか?

NPSは質問が1つだけのアンケート手法です。そのため、簡単に実施をすることが出来、高速に回収することが可能です。また、打ち手についても非常に明快です。多くの企業では、スコアを入れてもらった上で、そのスコアの理由を聞いています。理由には、「ここが良いがここが悪い」と言った率直な感想が書かれることが多くなります。他人に紹介する上でのハードルについても率直に記載して頂けることでしょう。そのため、安く、高速に、改善施策を考えることが可能になります。

日本においてはNPSがハードル高すぎるのではないか、という批判

日本は中間を選択する人が多いため、5点を選択する人が最も多くなっています。そのためNPSはハードルが高すぎるのではないかという批判あります。実際、日本は韓国、オランダと並んで平均的に低めな点数になることが多いことが明らかになっています。ですが、裏を返せば日本では「人に勧める」という行動自体を取らない人が多いとも分析出来ます。さらに国内で流通している商品やサービスの品質が非常に高いために、「勧める」という境地まで達しないケースが多いとも言えるでしょう。

ただ、スコアリングが低くなりがちだからといって9点、10点を目指さないのは問題です。よい品質のその先にある感動をゴールに置いた施策を練る必要があります。

B2BとB2CにおけるNPS

B2BとB2Cにおいては目標となるNPSは異なるのでしょうか。この問いに関しては異なると考えても妥当でしょう。B2Cの場合NPSは60% で、B2Bの場合は40%といわれています。

ベインアンドカンパニーの考える、8つの重要な仕事とは?

NPSの効果を最大化するためにベインアンドカンパニーでは8つの重要な仕事があるとしています。ここではその文献を翻訳して引用します。

1. 正確な得点記入

0から10の回答正確に記入してもらうことから全ては始まります。

2.ロイヤリティー経済学の理解。

推奨者、中立者、批判者はそれぞれ全く異なる経済価値を会社に提供します。との違いを分析することは顧客体験の飛躍の手助けになります。

3.根本原因の探求

個々の顧客のスコアの根本原因を見つけるためには外注ではなく自社で探求を行う必要があります。

4.クローズドループ

会社はフィードバックを従業員と共有し、それらの経験をもっとよくするために、一貫した開発方法で顧客に体験価値向上を提供し続ける必要があります。

5.学習

常に学習する組織である必要があります。また、組織には製品、方針、および手続の改良機会を発見するためのシステムが必要です。

6.行動

「わーお!」と顧客が感動するような推奨者を増やすために、製品とサービスを改善する行動を取り続ける必要があります。

7.頑強なサポートシステム

大きく複雑な企業はNPSを自社のシステムに統合する際、重要な問題に直面します。ネットプロモータースコアを運用に乗せるための頑強なサポートシステムが必要です。

8.コミットメントと交流

リーダーは、ネットプロモータースコアを委任してはならず、組織の中で根付くように、定期的に現場に働きかける必要があります。

あなたの会社のNPSはどういうスコアになるでしょうか。この機会に一度導入してみることをお勧めします。

参考文献)
NPSのスコア実例/導入事例:米国ネットサービスのNPS15事例
How does RackSpace achieve a NPS (Net Promoter Score) score of 40?
How Rackspace turns customers into brand fanatics


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