株式会社クリエイターズネクストの窪田です。
「マーケティングと心理学」について考えていくシリーズ。良いコンテンツを作るには、人の心理を知ることは非常に大切なことです。
第11回目の今回は、ザイアンス効果について解説し、マーケティング・コンテンツ制作に活かすコツをご紹介します。
本日は「真っ黒いごみ袋実験」について、まずお話していきます。
なんかダークな感じがしますが。どういうことか。
ある日学校に行くと真っ黒いごみ袋を付けた人がいた。裸足の足元だけは見えている。
こういう奇妙な状態があったわけです。
しかし、教師はそれについて突っ込む感じもなく何も言わずに普通に淡々と授業を始めた。
こういう実験をした人がいます
その結果どうなったと思いますか…?
最初生徒たちは敵意を感じていました。
「なんだあいつ…」
「なんか変な奴いるなあ」
それがだんだん好奇心に変わってきました。
「なんでこいつこれやってんだろう」
「なんかあるのだろうか?」
そして、だんだんと友情に変わっていたんですね。
「なんかゴミ袋ついた奴いるけどちょっと面白いやつだなあ」
「仲間に入れてやるか」
「あいつとサッカーやったらどんな感じになるのだろうか?」
この実験をしたのが、ロバート・ザイアンスというーランド生まれのアメリカの社会心理学者で、彼の名前からザイアンス効果と呼ばれるようになりました。
このザイアンス効果を簡潔にまとめると、
会えば会うほど好きになる
という心理のことです。
ただザイアンスは「真っ黒いごみ袋実験」では、これは本当に正しいと言えるのだろうか、と疑問を感じたそうです。
もしかしたら、落とした消しゴムを渡してあげたとか、なんかちょっといいことをしてくれたから友情に変わったんじゃないかと
ただ頻繁に会えば会うほど本当に人は人を好きになるのか、人は物を好きになるのか。
そういうことを考えていこうじゃないかということで、今度は人じゃなくて物でも実験したのです。
そこで今度単語帳を用いて、文字について考え始めました。
具体的には、clean、dirty love、hate、good、badといった単語が、それぞれどのくらい発話されているのかを調べていったのです。
結果はこのようになりました。
このように人が使っている単語は、良いイメージの物の方が、回数が多いことが分かってきました。つまり回数が多い方が良いと思ったわけです。
でもこの理論を証明するのはやや難しく、もともとイメージが良いからいっぱい使っているのか、いっぱい使っているから良いイメージなのかは厳密には分かりません。
そこで次は言語を変えてトルコ語でやってみよういうことになりました。
トルコ語を全く知らない方たちにいくつかの単語を渡して、何回見たかという頻度から、好き嫌いを確認すれば良いと考えたわけです。
ただトルコ語は英語に近いため、発音しやすいか、しやすくないかというだけで、好き嫌いが決まってしまったのです。
この実験も証明できない、ザイアンスがどうしようか頭を悩ませながら、辿り着いたのが日本の「漢字」だったのです。
西洋の人たちからすれば漢字は母国語とはかけ離れているため、見たか見ていないかだけで判断できるのではないか。
そのため漢字であれば、多く見たか見ていないかが好き嫌いに影響するのか、それともしないのかが判断できるとロバート・ザイアンスは考えたのです。
結果、たくさん見ているものが、好きにつながっているという効果を立証することができ、
頻度と好感度には相関があり、会えば会うほど好きになる
という、ザイアンス効果が確立されたと言われています。
このザイアンス効果はマーケティングにおいて「リマーケティング」などに用いられています。
リマーケティングとは、一度来訪したユーザーに対してもう1回広告を出して再訪を促す広告の配信手法です。
ザイアンス効果を活用すれば、メルマガの開封率を上げたり、コンバージョンを上げることにもつながりますので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。