株式会社クリエイターズネクストの窪田です。
「マーケティングと心理学」について考えていくシリーズ。良いコンテンツを作るには、人の心理を知ることは非常に大切なことです。
第10回目の今回は、ディドロ効果について解説し、マーケティング・コンテンツ制作に活かすコツをご紹介します。
ディドロ効果とは、一つのものがもたらした、新しい価値に対して統一感を求めたがる心理のことです。
フランスの思想家である、ドゥニ・ディドロが書いたエッセイにちなみ、18世紀のフランスの文化人類学者であるグラント・マクラッケンが定義したものです。
エッセイの中では、友人から緋色のドレシングガウンをプレゼントされた筆者が、その服と自分の書斎との調和が取れていないと感じ、あらゆるものを最新の家具と取り替えたことが書かれています。
こちらを身近な例で考えてみましょう。
例えば、Apple製品であれば、iPadを買った、iPhoneを飼った、MacBook Airを買う。
といった感じで、なんとなくAppleが製品で全てを染めたくなってしまう方が多いのではないでしょうか。
他にも、あるブランドがすごく好きな方であれば、そのブランドで世界観を統一したくなる。
こうした心理現象のことをディドロ効果と言います。
このディドロ効果は、ビジネスシーンの中でアップセルに効果的な心理と言われています。
アップセルとは、顧客の単価を向上させる営業手法のことになります。
例えば、お客様に何かものを買って頂いた後に、別の商品もおすすめして飼って頂く。こちらもディドロ効果の「揃えたくなる心理」を応用したテクニックになります。
何かのキャンペーンをする時は、あえて渡すのは「かけら」だけというようなマーケティングにすることで、顧客心理として揃えたくなる気持ちを誘発させるのです。
具体的に言えば、キャラクターものも、ディドロ効果を活用した事例です。
例えば全20種類くらいのキャラクターの内、1種類だけ手に入れたとしても、全部コンプリートしないとなんとなく気が済まないみたいな心理にならないでしょうか。
その気持ちが働くと、結局残り19種類を買っちゃおうと思い行動するのがディトロ効果です。
ディドロ効果の代表的なマーケティング活用例とも言えるのが、家具のインテリアコーナーです。
例えば、同じ家具でもリサイクルセンターとかだと、机、机、机、机、机、机といったレイアウトがほとんどですが、家具屋さんのインテリアコーナーでは、
机・椅子、その横にベッドがあるといった感じで、部屋のようなレイアウトになっているところが多いと思いませんか?
このようにすることで、
「机だけじゃなくて、椅子も一緒に買おうかなとか、横の棚も買おうかな、どうせだったらベッドも買っちゃおう」
といったように、生活をイメージしやすくなるので、他のものも買いやすくなることでアップセルが期待できるというわけです。
このように商品設計の時に、アップセルを想定してディドロ効果を使ったマーケティングを考えることは非常に有効です。
「かけら」となる商品やサービスのクオリティが高ければ、リピーターやファン獲得にもつながりますので、ぜひ上手に活用してみてはいかがでしょうか。