デザイン

【文字の歴史4】 スクリプト書体・ブラックレター書体

北野敦子
北野敦子
2019/04/28 03:05

はじめに

文字の歴史2.3は最も有名なセリフ書体とサンセリフ書体をご紹介しました。
今回はそのどちらでもないスクリプト書体とブラックレター書体を解説していきたいと思います。

1.スクリプト書体

このスクリプト書体は、手書きのような流動的なストロークに基づいた書体です。
手書き感を出していることからセリフ・サンセリフ書体に比べて読みやすさとしては悪くなります。
そのことから、グラフィックでは本文での使用よりもアクセントとして使用されることが多々あります。
この書体は2種類のスタイルに分類され、17世紀から18世紀の執筆家が羽ペンや金属ペンによって書いたレターフォームに基づいたフォーマルスクリプトスタイルと、20世紀初頭に現れ1950年代から1970年代までヨーロッパやアメリカの広告でよく使われていたカジュアルスクリプトスタイルとがあります。

2.ブラックレター書体(ゴシック書体)

太い線幅の大胆なアーチと細い線幅が組み合わさったこの特徴的で伝統のある書体は、現代では本文には不向きですがカリグラフィ文字として使用されています。
この書体はそれまで使用されていたカロリング書体(Carolingian)が見やすいものの、高価だった紙面を広く使い書くのに時間がかかっていたため、それを改善しより早く書くことができ、多くの文字を並べることができるようにと作られました。
文字を重ねて書き、線幅の太い部分が多くあることで紙面が黒く見えることからブラックレターという呼び名になりました。
ゴシック書体(Gothic Script)として呼ばれることがありますが、ここで指されるこのゴシック書体は日本でゴシック体と呼ばれているサンセリ フ書体とは異なるものです。

西ヨーロッパで12世紀から15世紀の間に使用されていた書体で、その後19世紀までデンマーク語に使われ続け、20世紀までドイツ語、エストニア語、ラトビア語に使用されていました。

まとめ

西洋の印刷の歴史から、書体についてを全4回にわたってご紹介してきました。
書体(文字)は、デザインにとって切っても切れない必須の素材です。
時代背景を知り、書体・スタイルの意図を理解することでより書体へ興味を持っていただけたらと思います。

著者:MainYard Design(メーンヤードデザイン) 北野敦子

1987年大阪出身。
生活する上で必ず目にするデザインされたものたち。 街を歩くだけでも無限の魅力があふれています。 ある日ふとそれらに魅了され別業界からデザイナーへ転身。 関西を中心にグラフィックデザインからブランド戦略提案などを展開中。
2012年タイポグラフィ作品展「OKU-2」出展。第31回読売広告大賞協賛社賞受賞。

※KOBITブログでは、定期的に北野敦子さんに記事を寄稿していただいております。
デザインに関するものを中心に、役立つ記事を数多く提供していただいておりますので、ぜひ他の記事もご覧ください。
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