デザイン

【文字の歴史3】 サンセリフ書体

北野敦子
北野敦子
2019/04/28 03:04

はじめに

サンセリフ書体は、セリフ書体にはあるストローク終わりの止めのポイントがないものを指します。
線幅の差も少ない傾向にあり、セリフ書体に比べ視認性の高いこの書体は、デジタルのディスプレイに表示されるテキストに最も最適とされ普及しています。
サンセリフは多くの名前を持っており、その中でも有名なのがゴシック体です。(ブラックレター書体の別名であるゴシック書体とはここでは別の意味です。)
サンセリフには5種類のスタイル分類が存在します。

1.グロテスク・サンセリフ (Grotesque Sans-Serif)

グロテスクスタイルは19世紀から20世紀初頭のサンセリフ書体の特徴的なスタイルで、その間のほとんどのサンセリフはこの特徴を持っています。
曲線の終幅は通常水平で、GやRの文字のほとんどが曲線のカーブを保持しています。
また、セリフ書体の当時のディドンスタイルが見出し用のような派手さがあったことから、このグロテスクスタイルはその目立つ要素を必要とせず、小文字や斜体には特徴を持っていませんでした。

2.ネオ・グロテスク・サンセリフ(Neo-grotesque Sans-Serif)

このスタイルは20世紀中期に登場しました。
前述のグロテスクスタイルの進化系がこのネオグロテスクスタイルです。
これは線幅の差が少ししかなく、またグロテスクスタイルと違い汎用性がある用途の多い書体として提供されたため、本文にも簡単に使用することができるようになりました。
このネオグロテスクの特徴は、グロテスク書体と同様に、均一の幅を持っていることです。

3.ジオメトリック・サンセリフ(Geometric Sans-Serif)

このジオメトリックスタイルの書体は、文字通り幾何学的なサンセリフ書体として作られています。
正円に近い円と正方形のような幾何学的な形に基づいています。
このジオメトリックスタイルはサンセリフ書体の中で最も汎用性のない形の傾向にあり、本文には不向きで見出しなどアクセント箇所によく使用されます。

4.ヒューマニスト・サンセリフ(Humanist Sans-Serif)

ヒューマニストスタイルの書体は書道などの伝統的な形からインスピレーションを受けたスタイルです。
多くの場合は、線幅の変化が激しくまたそこに複数の幾何学的要素が追加されているものもあります。

まとめ

印刷技術ができてからの350年間は、ラテン文字で印刷されたものはセリフ書体で書かれており、その後18世紀中旬に初めてサンセリフ書体が登場しました。
18世紀後期に建築家が自身の建築物などにサンセリフ書体を頻繁に使用することになったことで、その複製などが広がっていく過程でロンドンで人気となり、その後数世紀に渡ってじわじわと一般的な書体へとなっていきました。
1〜4の書体のスタイルだけではなく、複数の特徴を持ち合わせたスタイルも中には存在します。
今では最も有名な書体の一つであり、(もう一つはセリフ書体)視認性が高くあらゆる場面で使われている書体です。

著者:MainYard Design(メーンヤードデザイン) 北野敦子

1987年大阪出身。
生活する上で必ず目にするデザインされたものたち。 街を歩くだけでも無限の魅力があふれています。 ある日ふとそれらに魅了され別業界からデザイナーへ転身。 関西を中心にグラフィックデザインからブランド戦略提案などを展開中。
2012年タイポグラフィ作品展「OKU-2」出展。第31回読売広告大賞協賛社賞受賞。

※KOBITブログでは、定期的に北野敦子さんに記事を寄稿していただいております。
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